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[掲載 2023年07月11日] [更新 2023年07月11日] Delphi 一般・その他 [未分類 - OS の操作等]
JIS 2004 と Windows Vista 以降の字形
動作確認等 Windows 10 ビルド 19043 Pro 64 bit
[整理番号 - 1920]







JIS 2004 と Windows Vista 以降の字形


JIS 2004 は規格名ではありません.
2004年に JIS X 0213 が改正されました.その内容が JIS X 0213 の付属書 JIS X 0213:2004 に記載されていることから,改正後の JIS X 0213 の内容が JIS 2004 の通称で呼ばれています.JIS X 0213 は,2000年に制定された規格です.
この改正によって,168 文字の字形が変更され,新たに 10 文字か追加されました.JIS X 0213 には JIS X 0298 と JI X 0212 の文字も含まれていますから,そちらも変更されましした.同時に Unicode に登録されている字形も変更されました.



その 2 年後にリリースされた Windows Vista では,この改正内容に基づいた字形のフォントが実装されました.その結果,既存のテキストファイルなどの文字が,例えば以下のように,異なる字形に変わってしまう現象が発生しました.
フォントの字形の変更は,一般的な文書で,一般的な用語や語句であれば問題ないと思われますが,人名や地名,固有名詞などの場合に問題となることがあります.


Windows XP Windows Vista


[備考]
マイクロソフトは,Windows Vista / Windows 7 でも Windows XP と同じ字形の文字が使用できるように,互換フォント (MS 明朝とMS ゴシック) を提供していましたが,現在は提供されていません.JIS 2004 関連ウェブページも消失しています.





01_2004 年の改正で字形が変更された文字


JIS 2004 で字形が変更された 168 文字のリストです.
Windows XP のMS 明朝と,Windows 10 のMS 明朝での違いが確認してみました.Win XP の文字は,サーバにある Windows XP のフォントファイルを使用して表示していますので,Win XP の文字をコピーしても,表示している字形と同じにはなりはません.
この表の字形は,~必ずしも JIS の規格票の字形と同じとは限りません.


Win XP MS 明朝 Win 10 MS 明朝 Unicode
U+9022
U+82A6
U+98F4
U+6EA2
U+8328
U+9C2F
U+6DEB
U+8FC2
U+53A9
U+5642
U+990C
U+8956
U+8FE6
U+7259
U+5EFB
U+6062
U+6666
U+87F9
U+845B
U+9784
U+91DC
U+7FF0
U+7FEB
U+5FBD
U+7947
U+6C72
U+7078
U+7B08
U+537F
U+9957
U+50C5
U+55B0
U+6ADB
U+5C51
U+7C82
U+7941
U+9699
U+5026
U+6372
U+727D
U+9375
U+8AFA
U+5DF7
U+6897
U+818F
U+9D60
U+7511
U+53C9
U+698A
U+85A9
U+9BD6
U+9306
U+9BAB
U+9910
U+6753
U+707C
U+914B
U+696F
U+85AF
U+85F7
U+54E8
U+9798
U+6756
U+8755
U+8A0A
U+9017
U+647A
U+64B0
U+714E
U+717D
穿 穿 U+7A7F
U+7BAD
U+8A6E
U+564C
U+9061
U+63C3
U+905C
U+817F
U+86F8
辿 辿 U+8FBF
U+6A3D
U+6B4E
U+8A3B
U+7026
U+6357
U+69CC
U+939A
U+8FBB
U+633A
U+912D
U+64E2
U+6EBA
U+514E
U+5835
U+5C60
U+8CED
U+701E
U+9041
U+8B0E
U+7058
U+6962
U+79B0
U+724C
U+9019
U+79E4
U+99C1
U+7BB8
U+53DB
U+633D
U+8AB9
U+6A0B
U+7A17
U+903C
U+8B2C
U+8C79
U+5EDF
U+7015
U+65A7
U+853D
U+77A5
U+8511
U+7BC7
U+5A29
U+97AD
U+5E96
U+84EC
U+9C52
U+8FC4
U+5132
U+9905
U+7C7E
U+723A
U+9453
U+6108
U+7337
U+6F23
U+7149
U+7C3E
U+6994
U+5C62
U+51A4
U+53DF
U+54AC
U+5632
U+56C0
U+5F98
U+6241
U+68D8
U+6A59
U+72E1
U+7515
U+7526
U+75BC
U+795F
U+7AC8
U+7B75
U+7BDD
U+8171
U+8258
U+8292
U+8654
U+8703
U+8805
U+8A1D
U+9744
U+9771
U+9A19
U+9D09




02_2004 年の改正で追加された文字


JIS 2004 で追加された 10 文字のリストです.既にコード表にある文字の,別の字形,つまり異体字が追加されました.
ucs は,文字の Unicode のコードポイント,つまり,その文字の文字コードです.ucs は Universal Multiple-Octet Coded Character Set (国際符号化文字集合) の略です.


既存文字 追加文字 既存文字の UCS 追加文字の UCS
U+5036 U+4FF1
U+5265 U+525D
𠮟 U+53F1 U+20B9F
U+5451 U+541E
U+5618 U+5653
U+598D U+59F8
U+5C4F U+5C5B
U+5E76 U+5E77
U+75E9 U+7626
U+7E4B U+7E6B




03_規格票の字形とフォントによる字形の違い


本ページの最初の表の字形は,Windows XP のMS 明朝と,Windows 10 のMS 明朝との比較です.JIS の規格票の字形とは必ずしも同じではありません.平成明朝フォントの平成明朝体を使用すると,JIS の規格票と同じ字形になります.平成明朝体は,1980年に,財団法人日本規格協会文字フォント開発普及センターでによって開発されたフォントです.



改正前の文字の字形の例です.


旧規格票の字形 Win XP 平成明朝 Win XP MS 明朝 UCS
U+53C9
U+5F98


改正後の JIS 2004 の字形の例です.
上とこの表の文字は画像です.


現規格票の字形 Win 10 平成明朝 Win 10 MS 明朝 UCS
U+53C9
U+5F98




04_IPAmj 明朝フォントを使用して旧字形の文字を使用


JIS 2004 で字形が変更された旧字形の文字は,文字情報基盤の IPAmj 明朝フォントであれば使用できます.それらの文字は,異体字セレクタを使用する異体字として Unicode に登録されています.
以下のリンクをクリックして文字情報基盤の漢字検索のページを表示します.検索欄に文字「叉」を入力して検索します.




図1
検索

下図が検索結果で゛す.Unicode のコードポイント 53C9 に,2 つの異体字セレクタを使用するの異体字があることが確認できます.
IPAmj 明朝フォントを使用した文書では,規格の改正で字形に変更があっても,既存の文書の字形が変わることはありません.もし,規格の改正で,変更後の字形にしたければ,異体字セレクタを使用しない文字にしておきます. Microsoft Word 2019 やワードパット,メモ帳では,異体字セレクタを削除した文字にすることができます.




図2
U+53C9 の異体字
  • 異体字セレクタの値で異体字を区別する
  • E01XX が異体字セレクタの値

以下の 5 文字には異体字セレクタによる異体字はありません.これらの文字は,改正前と字形がほとんど変化していません.





[備考]
文字情報基盤としては,旧字体を Unicode のコードポイントとして登録申請を考えましたが,ユニコードコンソーシアム側からの打診で異体字セレクタとしての登録となったようです.