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春秋，母を尋ねて二十年．
舞台は江戸の柳橋，人に知られた水熊屋．
忠太郎
『女将さん，もう一度念を押しておたずね申し上げますが，
どうあっても，この忠太郎の生みの親は女将さんじゃあないと
おっしゃるんですね』
お浜
『ああ，そうだよ．
忠太郎さんとやら，お前さん，母親を訪ねてくるならば，
何故堅気でいなかったんだい』
忠太郎
『女将さん，そいつは無理というもんですぜ．
親と離れた小僧っこが，ぐれて落ちたに何の罪がありやしょう．
よしや，堅気になったところで，喜ぶ人はござんせん』
お浜
『・・・・』
忠太郎
『女将さん，忠太郎は二度と参りは致しません．お達者で．
ごめんなすって』
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