Delphi Programming / Object Pascal
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[掲載 2022年09月03日] [更新 2022年09月03日]　Delphi 一般・その他
フォームを実装した DLL を Lazarus で作成
動作確認等 Windows 10 ビルド 19043 Pro 64 bit + lazarus-2.0.12 32 bit
[整理番号 - 1540]






フォームを実装した DLL を Lazarus で作成


Lazarus で，フォームを実装した DLL を新規に作成する手順と，簡単なサンプル作成の記事です．





01_DLL を新規作成して新規作成のフォームを追加


IDE のメニューの [プロジェクト] から [新規プロジェクト] を選択します．下図のダイアログが起動します．このダイアログの左ペインの [ライブラリ] をダブルクリックするか，選択して [OK] ボタンで閉じると，新規の DLL 作成の状態になります．


図1
DLL の新規作成
  • [ライブラリ] を選択
  • [OK] をクリック

[プロジェクト] [名前を付けてプロジェクトを保存] で，SampleDLL.lpr という名前で，任意のフォルダに保存します．
次にフォームを作成します．
[ファイル] [新規フォーム] で作成します．
TButton1 を 1 つだけ配置します．下図では，DLL を使用する側のフォームと区別するために，フォームの背景色を変更しています．フォームのアイコンも変更しています．


図2
フォーム設計時の画面
  • TButton を 1 つ配置
  • 背景色を変更
  • フォームのアイコンを設定

フォームオブジェクトインスペクタの Name プロパティの値を FormInDLL にします．[ファイル] [名前を付けて保存] でフォームを保存します．今回は FormInDLLUnit という名前で保存しています．保存先は，DLL のプロジェクトファイルと同じフォルダとします．

[Ctrl] + [F9] でプロジェクトをコンパイルします．その結果のファイルのリストが下図です．



図3
保存してコンパイルした結果
  • DLL が作成されている
  • SampleDLL.lpr がプロジェクトのファイル

フォームのユニットのコードを以下のようにします．これは，Button1 をクリックしたら，モーダル表示したこのフォームを閉じる処理です．その時の戻り値を mrOK とします．上書き保存しておきます．


リスト1 
unit FormInDLLunit;

{$mode objfpc}{$H+}

interface

uses
  Classes, SysUtils, Forms, Controls, Graphics, Dialogs, StdCtrls;

type

  { TFormInDLL }

  TFormInDLL = class(TForm)
    Button1: TButton;
    procedure Button1Click(Sender: TObject);
  private

  public

  end;

var
  FormInDLL: TFormInDLL;

implementation

{$R *.lfm}

{ TFormInDLL }

procedure TFormInDLL.Button1Click(Sender: TObject);
begin
  ModalResult:= mrOK;
end;

end.



02_DLL のコードを作成


この DLL は，フォームをモーダル表示する関数だけを実装します．
プロジェクトのコードを以下のようにします．uses 部のフォームのユニット名は，前項の操作で自動的に追加されています．
上書き保存して，[Ctrl] + [F9] でコンパイルします．これで DLL の作成は終了です．IDE を閉じます．


リスト2 
library SampleDLL;

{$mode objfpc}{$H+}

uses
  Classes,
  Interfaces,
  Forms,
  LCLType,
  Windows,
  FormInDLLunit;

function FormShowModal(AppHandle: HWND): TModalResult; stdcall;
begin
  try
    EnableWindow(AppHandle, False);
    Result := FormInDLL.ShowModal;
  finally
    EnableWindow(AppHandle, True);
  end;
end;

exports
  FormShowModal;

initialization
  Application.Initialize;
  Application.CreateForm(TFormInDLL, FormInDLL);

finalization
  Application.terminate;
end.

begin
end.



03_DLL を使用するプログラムを作成して実行


Lazarus の IDE を起動したら，[プロジェクト] [新規プロジェクト] を選択します．起動したダイアログの左ペインから [アプリケーション] を選択します．
この操作は，プロジェクトの新規作成状態で Lazarus が起動している場合は必要ありません． 

フォームに TButton を 1 つ配置して，Unit1 のコードを，図の下のコードにします．

このプロジェクトを，[プロジェクト] [名前を付けてプロジェクトを保存] で，DLL のプロジェクトファイルと同じフォルダ内に保存します．保存したら [F9] でコンパイルして実行します．
下図が実行結果です．


図4
実行時の画面
  • [Button1] をクリック
  • DLL 内のフォームが表示される
  • [OK] ボタンをクリックすると閉じる

リスト3 
unit Unit1;

{$mode objfpc}{$H+}

interface

uses
  Classes, SysUtils, Forms, Controls, Graphics, Dialogs, StdCtrls,
  Windows, 
  LazUTF8;

type

  { TForm1 }

  TForm1 = class(TForm)
    Button1: TButton;
    Edit1: TEdit;
    procedure Button1Click(Sender: TObject);
  private

  public

  end;

function FormShowModal(AHwnd: HWND): TModalResult; stdcall; external 'SampleDLL.dll';

var
  Form1: TForm1;

implementation

{$R *.lfm}

{ TForm1 }

procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
var
  LCaption : string;
begin
  if FormShowModal(Handle) = mrOK then begin
    LCaption := UTF8ToWinCP('結果');
    MessageBox(Handle, '[OK]', PChar(LCaption), MB_ICONINFORMATION);
  end;
end;

end.



04_既存のフォームを DLL のプロジェクトに追加する場合


DLL で表示するフォームとして，既存のフォームを使用する場合の手順です．下図のダイアログで設定します．このダイアログは，[プロジェクト] [プロジェクトインスペクタ] で起動します．
プロジェクト] [プロジェクトインスペクタは，Delphi のプロジェクト マネージャに相当します．
まずは，追加するファイルが，DLL のプロジェクトファイルがあるフォルダ内にあるものとします．

あらかじめ，使用するフォーム関係ファイル ( 拡張子が .lfm と .pas のファイル ) を，DLL のプロジェクトファイルがあるフォルダ内に置いておきます．
[追加] をクリックして，[ファイルシステムからファイルを追加] をクリックします．目的のフォームのユニットファイルを選択して追加します．


図5
フォームのユニットファイルの追加

次に LCL ( Lazarus component library ) を追加して LCL が利用できるようにします．LCL は，Delphi の VCL に相当します．
[追加] をクリックして，[新規の要求] をクリックすると，[新規の要求] のダイアログが表示されます．このリストから LCL を選択して [OK] ボタンでダイアログを閉じます．


図6
LCL の追加

以上の操作の結果，] [プロジェクトインスペクタ] の内容は下図のようになります．ダイアログを右上の [X] ボタンで閉じれば設定は終了です．
この設定をしても，プロジェクトのソースの uses 部には，フォームのユニット名は自動追加されません．手動で追加することになります．



図7
追加した結果

追加するファイルが，DLL のプロジェクトファイルがあるフォルダ以外の場所にある場合，ファイルを選択すると下図のダイアログが現れます．


図8
追加するファイルが，プロジェクファイルのフォルダ以外の場所にある場合

上のダイアログを [はい] で閉じると，uses 部に追加するユニット名にディレクトリ名がなくても，そのユニットが使用できます．
この検索パスの情報は，プロジェクトの設定ファイルである，プロジェクトセッションファイル (拡張子は .lps ) に書き込まれます．したがって，他のプロジェクトでは，この検索パスは無効です．

 

uses
  Classes,
  Interfaces,
  Forms,
  LCLType,
  Windows,
  FormInDLLunit;


上のダイアログを [いいえ] で閉じると，uses 部に追加するユニット名には，以下のようにディレクトリ名が必要になります．

 

uses
  Classes,
  Interfaces,
  Forms,
  LCLType,
  Windows,
  FormInDLLunit in '..\TestForms\FormInDLLUnit.pas';


ファイルの場所が変わった場合，[プロジェクトインスペクタ] を起動して，該当ファイルをプロジェクトから削除して，新たに追加します．